肺癌のステージと生存率・余命

肺癌のステージと生存率・余命

肺癌の進行度(ステージ)

肺癌の進行度(ステージ)は治療方針を左右します。

肺癌の進行度は、がんの進展度と転移の状況で決まり、以下の3要素を組み合わせて潜伏がん、0、IA、IB、IIA、IIB、IIIA、IIIB、IVの8段階に分類されます。

小細胞がん(肺がんのうち肺腺がん、肺扁平上皮がん、大細胞がん以外)に関しては、極めて進行が速いため一般の分類とは別に治療上の観点から、限局型と進展型の2つの病期分類が用いられる事があります。

  1. 原発巣(大きさ):T因子
  2. リンパ節転移の有無:N因子
  3. その他の転移(遠隔転移)の有無:M因子

原発巣(大きさ):T因子-肺癌の進行度

TX 原発腫瘍の存在が判定できない。あるいは、喀痰または気管支洗浄液細胞でのみ陽性で画像診断や気管支鏡では観察できない
T0 原発腫瘍を認めない
Tis 上皮内癌
T1 腫瘍最大径30mm以下
肺か臓側胸膜に覆われている、葉気管支より中枢への浸潤が気管支鏡上なし(すなわち気管支に及んでいない)
T1a:腫瘍最大径≦20mm
T1b:20mm<腫瘍最大径≦3.0㎝
T2 腫瘍最大径30mmを超えて70mm以下、または以下のいずれかであるもの
・主気管支に及ぶか期間分枝部より20mm以上離れている
・臓側胸膜に浸潤
・肺門まで連続する無気肺か閉塞性肺炎があるが一側肺全体には及んでいない
T2a:腫瘍最大径が30mより大きく、かつ50mm以下
T2b:腫瘍最大径が50mより大きく、かつ70mm以下
T3 腫瘍最大径が70mmを超える、胸膜、横隔膜、横隔神経、縦隔胸膜、壁側心膜のいずれかに直接浸潤;分岐部より2cm未満の主気管支に及ぶが分岐部には及ばない;一側肺に及ぶ無気肺や閉塞性肺炎;同一葉内の不連続な副腫瘍結節
T4 大きさを問わず縦隔、心、大血管、気管、反回神経、食道、椎体、気管分枝部への浸潤、あるいは同側の異なった肺葉内の副腫瘍結節

リンパ節転移の有無:N因子-肺癌の進行度

NX 所属リンパ節評価不能
N0 所属リンパ節転移なし
N1 同側の気管支周囲かつ/または同側肺門、肺内リンパ節への転移で原発腫瘍の直接浸潤を含める
N2 同側縦隔かつ/または気管分枝部リンパ節への転移
N3 対側縦隔、対側肺門、同側あるいは対側の前斜角筋、鎖骨上リンパ節への転移

その他の転移(遠隔転移)の有無:M因子-進行度

MX 遠隔転移評価不能
M0 遠隔転移なし
M1 遠隔転移がある
M2a:対側肺内の副腫瘍結節、胸膜結節、悪性胸水、悪性心嚢水
M2b:他臓器への遠隔転移がある

進行度(ステージ)の表

進行度 TNM-UICC分類第7版による臨床病期(2009)
ステージ T因子 N因子 M因子
Stage0 Tis N0 M0
StageIA(1A) T1a,T1b N0 M0
StageIB(1B) T2a N0 M0
StageIIA(2A) T1a,T1b
T2a
T2b
N1
N1
N0
M0
M0
M0
StageIIB(2B) T2b
T3
N1
N0
M0
M0
StageIIIA(3A) T1a,T1b
T2a,T2b
T3
T4
N2
N2
N1,N2
N0,N1
M0
M0
M0
M0
StageIIIB(3B) anyT(T0~T4)
T4
N3
N2
M0
M0
StageIVC(4) anyT(T0~T4) anyN(N0~N4) M1a,M1b

小細胞肺がん(小細胞肺癌)の進展度

小細胞がん(肺がんのうち肺腺がん、肺扁平上皮がん、大細胞がん以外)に関しては、極めて進行が速いため一般の分類とは別に治療上の観点から、限局型と進展型の2つの病期分類が用いられ治療方針決定を行っています。

限局型(LD) 病変が同側胸郭内に加え、対側縦隔、対側鎖骨上窩リンパ節までに限られており悪性胸水、心嚢水を有さないもの
進展型(ED) 限局型の範囲を超えて伸展した病変

肺癌は進行度によって治療法は異なります

肺癌の治療はがんの進行度によって異なってきます。そのため担当医師から進行度について正しい説明を受けることが大切です。

肺癌の予後

肺癌のステージ別の5年生存率-非小細胞肺がん

■肺癌手術後の5年生存率-非小細胞肺がんの場合

I期(1期) II期(2期) IIIA期(3A期)
手術後5年生存率 70% 50% 20~30%

■肺癌非手術時の生存中央値-非小細胞肺がんの場合

III期(3期) IV期(4期)
生存中央値 16ヶ月 8-10ヶ月

上の表は、非小細胞肺がん(小細胞がん以外)の手術後5年生存率(上の表)および手術ができなかった場合の生存中央値(下の表)を表したものです。

5年生存率とは、5年間再発しないということではなく、衰弱しても生存していればカウントされる数値で、(状態はともかく)治療開始から5年後に生存している人の割合です。

※非小細胞肺がん:肺腺がん肺扁平上皮がん大細胞がん

手術ができた場合早期肺がん1期の手術後でも70%足らず、2期では50%、3A期ではわずか30%以下に留まります。

手術ができない進行した肺癌がんの場合にはさらに厳しく、生存中央値は3期では16ヶ月、4期では10ヶ月にも満たないのです。

■小細胞肺がん(小細胞肺癌)治療成績

限局型(LD) 進展型(ED)
生存中央値 約20ヶ月 約8-10ヶ月

抗がん剤や放射線が良く効く小細胞肺がんも予後は厳しく、生存中央値は限局型で約20ヶ月、進展型では10にも満たないのです。

肺癌治療の成績をみて良い成績だと考えるか、悪い成績だと考えるかは意見の分かれるところかもしれませんが、決して手放しで喜べる治療成績ではないと多くの方が思われるのではないでしょうか。