肺癌の組織診・細胞診(生検)

肺癌の組織診・細胞診(生検)

肺癌の検査-組織診・細胞診(生検)

がん細胞があることを確認する確定診断

胸部X線検査や胸部CT検査などの検査により肺癌の疑いが強いと判断された場合、病変から細胞や組織を採取して、がん細胞があるかを顕微鏡で確認します。

肺癌の最終的な判定を行う方法には、細胞診と組織診の2種類があります。細胞や組織の一部を採取して調べるこれらの検査を生検(バイオプシー)といいます。細胞診には喀痰細胞診や擦過細胞診、気管支鏡検査、経皮的肺穿刺検査、胸水細胞診などがあり、細胞の一つ一つを顕微鏡で観察してがん細胞があるかを判断します。

組織診は検査や手術で採取した組織を顕微鏡を使って調べる方法で細胞の大きさや形、並び具合などを総合的に調べる方法です。

肺癌は組織型の違い「腺がん(腺癌)」、「扁平上皮がん(扁平上皮癌)」、「大細胞がん(大細胞癌)」、「小細胞がん(小細胞癌)」によって性質が異なります。各ページを参考にしてください。

肺癌の検査-喀痰細胞診

喀痰細胞診は肺癌の細胞がはがれ落ちて痰に混じった細胞を検出する検査方法で、おもに肺門部に発生する肺癌の早期発見に有効な検査です。血痰や痰、持続する咳などの症状を訴える患者さんに対しては必須の検査です。

検査の方法としては、朝起きてすぐに採取した喀痰を容器に入れて提出するだけです。最低でも3日分の痰(たん)を採り、痰の中に癌細胞があるかどうかを顕微鏡を使って調べます。診断は細胞の異型度により5段階にクラス分類されます。

喀痰細胞診により肺がんが疑われた場合にはCT検査や生検を行います。

肺癌の検査-気管支鏡検査

気管および肺の太い気道の内部をみて異常があるか調べる方法です。

気管支鏡(ファイバースコープ)が届く範囲に病変がある肺門型の場合には直接気管支鏡にて病変を確認しながら組織を採取します。気管支鏡が届かない肺門型の場合には、局所麻酔下でX線によって体の中を透視しながら鉗子(かんし)やブラシを肺の病変部までいれ、細胞を採取します。

肺癌の検査-経皮的針生検

経皮的肺穿刺法、経皮肺針生検とも呼ばれる検査で、気管支鏡では採取できないような小さな病変に対して、細い針を使って、肺から組織、または液体を採取する方法です。

CTスキャンや超音波などを使い、肺の中の異常な組織や液体の位置に目標を定め、特殊な針を皮膚から刺して肺の病巣を取って調べます。

擦過細胞診

気管支鏡を使い直接ブラシやキュレットと呼ばれるさじのようなもので病巣部分をこすりとり調べる方法です。

肺癌の検査-胸膜生検、胸水細胞診

局所麻酔をして肋骨の間から特殊な器具を用いて胸膜を一部採取し、がん細胞がないかどうか検査します。
肺の外側の胸膜に水がたまっている(胸水)場合、胸水の中にがん細胞が浮いていることが多いため、同様の手法で注射針を用いて胸水をとって同様に検査します。

肺癌の検査-リンパ節生検

首(頸部)のリンパ節がはれている場合、リンパ節に針を刺して細胞を採取したり、局所麻酔をして外科的にリンパ節を採取します。採取した細胞・組織を顕微鏡下でがん細胞がないかどうか検査します。

肺癌の検査-縦隔鏡検査・胸腔鏡検査・開胸手術

上記の検査によっても確定診断が得られない場合、外科的に組織を採取します。

外科的な方法には、縦隔鏡検査や胸腔鏡検査、開胸手術などの胸を開く方法があります。いずれの検査方法も全身麻酔が必要です。

縦隔鏡検査-肺癌の外科的検査方法

縦隔鏡検査は肺の中に病変が見当たらず、気管の周囲の縦隔リンパ節が腫大して診断が困難な場合などに行われる肺癌の確定検査法です。

胸腔鏡検査-肺癌の外科的検査方法

胸腔鏡検査は気管支鏡検査では診断ができない胸腔内や肺の表面の観察、生検を目的に行うものです。胸の皮膚を切開し胸腔鏡を挿入し、肺や胸膜、リンパ節の一部を採取し肺癌の細胞がないか検査します。

開胸手術(開胸生検)-肺癌の外科的検査方法

CT検査などで肺癌の疑いが非常に強く、病巣が肺内にとどまっている可能性が高い場合に、開胸し外科手術によって腫瘍から直接組織を採取し検査する方法です。

開胸生検で肺癌が確定した場合には、そのまま摘出手術が行われることもあります。

EGFR遺伝子検査

EGFR遺伝子変異の有無がゲフィチニブ(イレッサ)やアファニチブ(ジオトリフ)、エルロチニブ(タルセバ)などの分子標的薬の効果予測因子となるため、またまたEGFR-TKIを含む治療後に癌が進行してしまった際に、タグリッソ(オシメルチニブ)の治療の適否を決定するためにも非小細胞肺癌のうち肺腺癌ではEGFR遺伝子検査は必須です。

ALK遺伝子検査

ALK遺伝子検査はALK阻害剤であるザーコリ(クリゾチニブ)やアレセンサ(アレクチニブ)などの分子標的薬の治療の適否を決定するために肺腺癌では必須の検査です。