食道がんの診断と検査

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食道癌の診断・検査について。

食道癌高リスク郡の方は年一回スクリーニング検査を受ける

食道癌を早く見つけるために心掛けたいこと

食道癌は難治性のがんですが、初期の段階で発見する事ができて、根治手術が適応となった場合には治る率は高くなります。しかし食道癌は初期の段階では自覚症状がでないこともあるので、定期的にスクリーニング検査(X線検査や内視鏡検査)を受けて早期発見に努めることが大切です。

特に喫煙歴のある方や強いお酒が好きな方、熱い食べ物や飲み物、辛い食べ物などを好む方は40歳を超える頃から食道癌になる可能性が増えてきますので、毎年1回を目安に健診を受けることが大切です。

身体に異変を感じたら早めに受診を!

食道癌は進行が早く難治性の病気であり、手術による摘出が「できる」か「できない」かが予後を大きく左右することになります。

しかし、食道癌は初期の段階では自覚症状に乏しく、身体の異常を自覚してしばらく時間が経過してから検査を受けた時には既に手術ができない状態にまで進行してしまっていることも少なくありません。

従いまして、<食道癌の初期症状|進行食道がんの症状>のページを参考にご自身の身体に異変を感じたらできる限り早めにお近くの医療機関を受診されることをお勧めします。

食道癌の検査

食道癌の検査は目的によって以下の3つに分類されます。

  1. 食道癌の疑いがあるかを調べる検査
  2. 食道癌を確定する検査
  3. 食道癌の進行具合を調べる検査

食道癌の疑いがあるかを調べる検査

食道癌の疑いがあるかどうかを調べる検査には、「食道造影検査(レントゲン検査)」と「食道内視鏡検査」があります。また血液を採取して調べる腫瘍マーカー(血液検査)もあります。

食道造影検査(レントゲン検査)-食道癌の検査

食道造影検査はバリウム(造影剤)を飲んでバリウムが食道を通過するところをX線で撮影して食道癌の場所や大きさなどを調べる検査です。

患者さんにとっては負担の少ない検査ですが、早期発見は難しいという問題もあります。

食道内視鏡検査-食道癌の検査

食道内視鏡検査は口から(鼻からの場合もある)カメラのついた内視鏡を挿入し食道の内部を直接観察する方法です。

検査の際に「ルゴール」と呼ばれるヨウ素液を食道内にまいて検査をするヨード染色法により観察することがあります。この方法を用いれば肉眼では識別が難しい早期の食道癌でも見つけやすくなります。

内視鏡検査時の生検により食道がんの確定診断ができます。
また、食道造影検査や超音波内視鏡検査を用いて癌の深さ(壁深達度)を診察します。

腫瘍マーカー(血液検査)-食道癌の検査

腫瘍マーカー(血液検査)は血液を採取するだけで用意に検査できるため広く普及しています。

日本人の食道癌はほとんどが扁平上皮がんであるため、「SCC抗原」という腫瘍マーカーを確認することで治療後のフォローアップなどに有用です。基準値は1.5(ng/ml)以下-EIA法/2.0(ng/ml)以下-IRMA法・RIA法です。

食道癌を確定する検査

食道癌の判定を行う方法には、組織診断といって組織の一部を採取して調べます。この検査を生検(バイオプシー)といいます。

組織診は検査や手術で採取した組織を顕微鏡を使って調べる方法で細胞の大きさや形、並び具合などを総合的に調べる方法です。

食道癌の進行具合を調べる検査-病期診断

食道癌が確定した後は、どの程度進行した食道癌であるのか、リンパ節転移の有無や肺転移、肝臓転移、骨転移、脳転移など転移があるのか・ないのかを調べることが重要になってきます。

食道癌の治療方法を決定する過程で、食道癌が食道内にとどまっていて手術適応となるのか、食道の外に進行していて手術が適応とならず抗がん剤の治療や放射線の治療を行う必要があるのかを判断することはとても重要です。

食道癌の病期(進行の程度)を調べる検査として、超音波内視鏡検査やCT検査、MRI検査、骨シンチグラフィー、PET検査、脳のCT検査やMRI検査などがあります。

超音波内視鏡検査-食道癌の検査

超音波内視鏡検査は内視鏡の先端に超音波装置を付けて食道壁の画像を撮影し、食道癌の深さや周囲のリンパ節に食道癌が転移しているかなどを調べることができます。

CT検査(CTスキャン)-食道癌の検査

CT検査は体の周りをぐるりと回転するX線発生装置を用いて人体の断層像を得る検査で、からだを輪切りにした断面図が得られます。

CT検査(CTスキャン)では食道癌の浸潤や他の臓器への転移の有無を調べることができます。リンパ節転移の有無も調べることができます。

一方短所としては放射線の被ばく量がX線検査のと比較して数十倍ととても多いことがあげられます。

PET検査-食道癌の検査

PET検査はがん細胞が正常な細胞よりも活動性が高く、栄養となるブドウ糖を正常細胞よりも数倍取り込む性質を利用した検査で、がん細胞があれば、その部分に注入した薬剤(ブドウ糖に放射性物質を合成したもの)が集まります。

一度の検査で全身のがん検査が可能ですが、検査費用が高く頻繁に検査ができないという欠点もあります。また、PET検査だけでは食道癌を正確に診断することはできませんので、必ずCT検査などの診断との併用が必要です。

骨シンチグラフィー-食道癌の検査

骨シンチグラフィーは全身の骨の転移の有無を調べるための検査です。

食道癌は進行すると骨に転移することがあります。骨シンチグラフィーは進行食道癌で骨に痛みを伴っている場合に行う検査になります。

MRI検査-食道癌の検査

MRIとは核磁気共鳴画像法といって、X線ではなく強い磁場をかけて身体の中の状態を調べる検査法です。

メリットとしてはX線検査やCT検査のように放射線被爆がないということがあげられます。

一方デメリットは強い磁場がかかることで、ペースメーカーなどを使用されている方は検査を行うことができません。

胸部MRI検査によりがんの浸潤や他臓器への転移の有無などを調べることができます。

また、食道癌は進行すると脳に転移することがありますがMRI検査によって脳への転移の有無を調べることもできます。